皆さんは【体感リズム】という言葉をご存知だろうか?
まず、音楽の楽しみ方は本当にろうの人によってさまざまです。
音を振動に変えるろう向けの専用の椅子、音をカラーライトの光の点滅でリズムを伝える方法、ろう者に風船を配布しろう者が風船を両手でつかむと音の振動がとてもよくわかります。床に伝わる音の振動を足でも理解しています。多くのろう者が体感振動に敏感です。敏感度は個人差がありますが・・・その感覚が鋭い人は舞台などの大きな声の程度も足の振動でわかる方もいます(私もその1人です)。また、私を含め、音の程度の大きさも三半規管のあたりつまりこめかみでわかる人もいます。
家でステレオなどにヘッドホンを装着し最大にして、スピーカーに手を当てて音楽を楽しむ方もおられます。
耳が聞こえるようになりたいのではなく、単純に純粋に音楽が好きだからなんです♪
花火や太鼓の振動が好きなろう者も結構います。
ただし、ろうの中で音楽を趣味とし、または興味を持っている一部のろう者に限られます。
単純に、水泳、スキーなどが「好き」か、「苦手」か「興味がない」という次元と全く変わらないんです。
それが手話のない演劇であっても同じなんです。演劇をすることが好きなろう者は参考にと研究がてら演劇を観に行かれます。
ろう者でもごく普通の演劇や音楽が好きで愛してる人々が一部にいることを知っていておいてください。
ろうの視点では、音楽は音を聞くだけが全てではないんです。視覚で楽しむ音楽(リズム)もあり、身体で音楽の振動を感じ取り、心で感じとり楽しんでいるんです。
本当に、単純にそのろう者が演劇や音楽を心で感じて楽しんでいるのです。ただろう者、全員が当てはまるわけではなく趣味としているかしていないかの違いです。
余談になりますが、毎年夏になると、娘が決まって「セミがミーンミーン鳴いてる」と私に教えてくれます。その瞬間すっかり夏だなあ~って心で感じ秘かに微笑んでいます。
たまに「ミーンミーン煩い!」といってくるので笑っちゃいます。
また、多くの人々にろうの世界観は音が全くない先入観から、音を知らない、暗いイメージとか、耳鳴りとは無縁だと思っていた方もかなり多くおられます。
音に関してはろう者によって解釈がそれぞれ違いますが、心の中に音楽や音はありますし音のへの関心もあります。
音に関して会話も含め、不便さもあるけれどもそれ以外は皆さんと大差がありません。
(A・K)